法条遥「リライト」感想 これは猛烈に面倒くささを追求した小説だ
あらすじ
1992年の夏、保彦という未来人の少年が「本を探しにこの時代にやってきた」と言って転校してきて、中学二年生の美雪と一緒に一夏を過ごす。
保彦はラベンダーの香りが付いた紫色の錠剤をのむことで時間を移動することができるが、この薬は保彦自身が開発したもので保彦以外にはたった5秒間しか使用できないのだと言う。
保彦が未来へ帰る日、二人が密会に使用していた旧校舎が倒壊し、保彦はがれきに埋もれてしまう。
保彦を助けようとした美雪は薬を飲んで十年後へ飛び、十年後の世界から持ち帰った携帯電話によって保彦の居場所を探り当てて保彦を助ける。
保彦は未来へと帰り、その一夏は美雪にとってかけがえのない思い出となった。
それから十年後、美雪は過去の自分が携帯電話を持って帰れるようにセッティングしたのだが、いつまで経っても過去の自分が現れない。
これでは十年前の美雪が保彦を助けることができない。
ここで美雪は、タイムパラドックスが発生して過去が改変されてしまったのではないかという恐怖にとらわれる。
小説家になっていた美雪は十年前の出来事を基にした『時を翔ける少女』という名の小説を出版するが、そんな折に開かれた中学の同窓会で衝撃の事実が発覚。
そして最悪のパラドックスが実行される。
文体は軽いが論理SF
文体は軽めでサクサク読める。
現在と過去を行き来する構成になっているが、そこに仕掛けられた伏線も文体につられて読み飛ばしてしまうかもしれない。
しかし内容は軽いわけじゃなく、全体的にどこかしら暗い雰囲気を漂わせたまま進行していく。
そして最後には理詰めでそれまでの違和感が説明され、物語はパラドックスへと陥ってしまうのである。
実はこの話、未来人の保彦がある策を弄しているわけなのだが、その策と言うのが本当に面倒くさい。
いやいや、確かにこうするしかなかったっぽいけれど、本当にこれをやっちゃうのか。
他にもっとやりようがあったような気もするけれど、考えてみればこれしか方法が無いような気もする。
でもよくやろうと思ったな。
ネタバレを避ければこんな感じの感想になる。
脳内で当時の状況を思い描いてみると、相当に愉快な、いや不条理感ただよう図柄になるので思わず笑ってしまう。
そして面倒くさいのは最後に展開されるパラドックスも同様である。
それまでの軽い文体からはちょっと想像しにくいくらいに複雑で、理解するのにずいぶん手間取った、というかまだ完璧に理解したかどうか自信がない。
こういうパラドックスものって、ある事象によって全体像がどこまで改変されてしまうのか、っていう部分が非常につかみづらいところがある。
この作品でもそこを脳内で整理するのが大変だったわけだけど、話自体はストレートに面白い。
この面倒くささ、不条理さに作者が力を注いだのかなーと、解説を読んだ今は思う。
全四作でサーガになっているようなので、続きもどんどん読んでみよう。
スマホの背景画面を彼女の写真にしてるやつは敵
昨日、久々に友人と会って車でショッピングモールに行った。
友人は既に社会人で、昨日は会社が休みだったので地元に帰って来ていたらしい。
そして、ショッピングモールの中の喫茶店で休憩でもしようかと言う話になり、二人掛けのテーブル席でダラダラしていた。
しばらくとりとめのない話をしていたんだが、ふいにそいつがスマホを取り出して操作し始めたわけですよ。
そして自分は見てしまったのだ。
スマホの背景画面が女の子の写真だということに。
おいおいちょっと待ってくれよ、おまえそんな彼女とかできるようなタイプじゃなかったじゃん。
教室の隅で低いテンションの会話を俺のような男子とするばかりの青春時代だったじゃん。
めげるわ……。
しかも俺が写真のことを指摘したら昨日は夜から彼女の家に泊まってたとか言い出すし。
おいおい、冗談はよしてくれと言いたかったが、考えてみればそいつの髪はいつの間にやら金髪になってるしピアスは空いてるし、彼女が居てもおかしくないかもしれないと思ってしまった。
お前はいつから俺を置いてそんなところへ行ってしまったんだ?
同性とすらあまり交流の無いわが身と引き比べて、とりあえずすげー凹んだ。
そもそもなんだ、スマホの背景画面を好きな人の写真にしたところでアプリのアイコンが邪魔で良く見えないだろ!
本当に彼女が好きならそんなアプリのアイコンで隠されるのを嫌って、アプリをすべてアンインストールするくらいの気概でいるべきだ。
絶対他のやつらに見せつけたいだけじゃねーか!
許すまじ、スマホの背景画面を彼女の写真にしてるやつ。
ニュースになってる編集者の殺人事件って、まるで古畑任三郎か刑事コロンボの世界みたいだ
って思った人、絶対自分以外にも居るだろう。
ちなみにニュースの記事はこれ。
講談社「モーニング」の敏腕編集者 妻の殺害容疑で逮捕(1/2ページ) - 産経ニュース
こういう「ある程度の社会低地位がある人間による殺人事件」っていうのが、古畑任三郎や刑事コロンボに共通する点である。
弁護士だの医師だの社長だの。
そう言えば古畑任三郎で風間杜夫が演じた犯人は月刊カドマツの編集長だったな。
どうしてこれらのドラマの犯人は社会的地位が高いんだろう?
やっぱり社会的地位がある人間って自分の立場とか影響なんかを考えてしまって、隠蔽工作をしがちなイメージがあるのか?
確かにそうかもしれない。
この事件でも最初のうちは自殺だと証言していたらしいし、容疑者には隠蔽の意図があったのは明らかだろう。
それがどの程度のものだったのかはわからないけど。
人間、そうそう自分が手に入れた立場を手放す気にはなれないよなあ。
それが努力した結果であって、周囲からも羨望のまなざしを受けるようなものであればなおさらだ。
それにしても「進撃の巨人」やら「聲の形」やら、随分なビッグネームに関わっている人だったみたいで驚くばかり。
編集者としての能力がある人なのは確かっぽいし、本当にもったいない。
そりゃあ隠蔽したくもなるか。