恒川光太郎「月夜の島渡り」感想
沖縄を舞台にした七つの怪異譚を収録した短編集。
どれもこれも、自分たちの日常のすぐそばに不思議な世界へ入り口が開けているような感覚にさせられる話ばかり。
胡弓の音色に呼び寄せられる死者たちの声、無数の靴が木に吊るされた怪人の家、パーラーで働く異様な女。
どれもこれも、次第に自分たちの世界に何者かが忍び寄ってくるような、そんな気分になる。
作者の恒川光太郎の作品は結構昔から読んでいて、どれもこれも不思議な雰囲気が気に入っている。
ホラー寄りではあるが派手な幽霊の祟りだとか殺人鬼だとか怪物が出てくるわけでもない、じんわりと怖さや不思議さを感じさせてくれる語り口がうまい。
今までで一番のお気に入りは「南の子どもが夜行くところ」だったが、この作品はそれに匹敵するくらい好きかもしれない。
どことなく、例えばこの作品では沖縄、「南の子どもが夜行くところ」ではどこか南の島、というように今自分が居る世界とは少し違った場所が舞台になっている方が好きなのかもしれない。
本当にそういう話があってもおかしくないと思えるのかも。
沖縄って実際にはどうなんだろうかわからないが、怪異譚の舞台にするにはうってつけな場所かもしれないという気がする。
すぐそこに怪しい人物が住んでいても、霊能者が居ても、得体のしれない魔物が居るという噂があってもすんなり納得してしまう空気があるような。
沖縄の人に言ったら心外だと怒られるかもしれないけど。
三日に一度寝坊してるんだが社会人になったら死にそう
タイトルで「寝坊」って言ったけど、実際には現在の生活には用事も何もないから正確には「寝坊」じゃない。
ただ最近は「朝八時に起きる」という目標を自分の中で立てていて、目覚ましもセットして起きようとしている。
その朝八時起床のサイクルが、ほぼ三日に一度リセットされてしまう。
寝坊しちゃうのだ。
昨日と一昨日は八時に起きたのに、今朝起きたのは十二時くらいだった。
ついさっき朝ご飯か昼ご飯かわからないご飯を食べたところ。
この前にこのサイクルが乱れたのも、たしか二日間はしっかり起きて、三日目に寝坊しちゃったのだったと思う。
四月からは一応会社員なわけで、その前にもうちょっと規則正しい生活サイクルを身につけたいのに、どうしても朝起きる時間が一定にならない。
このままではたぶんヤバイだろう。
実際には社会人がどういうものかよくわかってるわけじゃないので、本当にやばいのかどうかはわからないけどたぶんヤバイ。
そもそも、中学生くらいまでは普通に早起きの習慣がついていた。
小学生の頃から朝早く起きて学校行く前に新聞を読んでいたので、朝六時半くらいには起きて八時前に家を出ていた。
中学生になると部活の朝練の前に録りだめしていたドラマ(たしか生田斗真が出てた「魔女裁判」とか、昼間やってた古い「相棒」とかを観てた気がする)を見る習慣があったので、五時か四時半くらいに起きだして誰も居ないうちに観ていた。
そして七時前に家を出て朝練に行っていたのだが、今考えると少し頭おかしいな。
高校生になると部活の朝練はサボっていたので起きるのは少し遅くなったけど、それでも七時くらいには起きていた。
まあ、昔はそんだけ早起きができてたという話。
それが大学生になった途端、だんだんと早起きができなくなった。
下宿暮らしになったのも原因の一つかもしれないけど、実家にいるころでも親に起こされることもなく自分の目覚ましで起きていたのだから、親が起こしてくれなくなったのが原因ではなさそうだ。
それでも一限と部活がある土曜日は何とか気力を振り絞って起きられていたのだが、三年の後期から時間割から一限が消え去り、そして部活動でも上級生になって出席がある程度自由になると一気に朝起きられなくなった。
七時起きをこなしていたころの自分が、信じられないほど遠い存在に感じられるようになった。
四年になると大学の講義がゼロになり、思うさま怠惰な生活をむさぼった。
毎日毎日昼頃までベッドで横になり、腹が減って耐えられなくなったら起きだしてご飯を食べ、ダラダラとネットサーフィンをしてネット麻雀をやりこみ、本や漫画を読んでCDを聴いて、気が付いたら夜になっていて寝る。
睡眠時間は優に十時間を超えていた。
就活はほとんどエントリーシートを出さなかったので、何かあってもせいぜい週一といったところで、その時だけ頑張って午前中に起きたりしていた。
そして卒論も出して数か月後には社会人かあ……と思ったとき、「このままだと自分、やばいんじゃないか?」とようやく危機感を持ち出した。
そして年末あたりから早起きを頑張ろう(と言っても八時)と心に決めて今に至る。
会社の始業時間が九時前とかだから、本当は朝八時でもたぶん間に合わない。
なのにそれすら到底おぼつかないってどういうことだ。
やっぱり用事が何もないのがいけないのかなーと思うが、そのために用事を入れるのも面倒だし、そもそも今の自分にどんな用事があるというのか。
会社が始まったら自然にどうにかなるのだったらそれでいい、ただどうにかなるのかならないのか、それが会社が始まるまでわからないのが一番困っている。
アニメ「BACCANO!」一気見したので感想
ずっと前にブルーレイボックスを買っていた「BACCANO!」を一気見した。
1930年代、禁酒法時代のアメリカを舞台に錬金術師が作り出した不死の酒をめぐってマフィアやチンピラや錬金術師やカップル強盗が巻き起こす騒動に、大陸横断特急フライング・プッシー号での狂信者に不良少年に快楽殺人鬼なんかが暴れまくる事件を群像劇で描いた作品。
控えめに言ってもめちゃくちゃ面白いし、観てない人には本気でオススメする。
前にもレンタルで観たことがあったんだけど、とても気に入ったので思い切って数か月前に購入したのを今日まで観てなかった。
そろそろ観てみようかなーと思って観始めたら面白くて面白くて、一話から番外編含む全十六話を一日で観てしまった。
久し振りに観てみたらオープニングで軽くこれまでの内容に触れているし、登場人物の名前もしっかり紹介しているしで視聴者の理解を助ける工夫がされているのに気づいた。
まあね、そんぐらいしなきゃ複雑すぎてなかなか内容が頭に入ってこないしね。
それでもリアルタイムで視聴していた人のいくらかは、内容について行けなくて脱落しちゃった人も多かったんじゃないかなあと感じた。
いやあ、脱落したまま観てない人は本当に損してる。
群像劇なので登場人物がとても多いことに加え、時間と空間が頻繁に飛ぶので最初のうちは何が何やらわからない。
でも観ていくうちにだんだん誰が誰なのか、どんな関係を持っているのかがわかってきて、テンションマックスでラストを迎える。
一見バラバラに起きているようなあれこれの事件がどんどん関連性を増していって、最後にはきれいにつながり、かつそれぞれの話もしっかりした結末を迎える構成が最高に観ていて快感なのだ。
かっこいい雰囲気が好きな人にも、複雑な話が好きな人にも、ハッピーな話が好きな人にもおすすめ。
多少グロイところもあるけれど、アニメだからといって敬遠するのはあまりにも勿体ない作品。
これは別に萌えを押し出している作品じゃないけど、女の子もかわいい。
ミリアちゃんとか超おバカだけど好き。
一番好きなのはやっぱりレイチェルくんだけどね。
かっこいいし身体能力高いし素直じゃないところもいい。