法条遥「リアクト」感想 「リライト」の謎解き編?
法条遥の「リライト」から始まる四部作の三作目。
西暦3000年から1992年の日本にやってきたタイムパトロールのホタルは、2311年に失踪した科学者を追跡するのが使命だった。
その過程で岡部蛍という作家が著した小説「リライト」に興味を抱き、作中で同窓会が開かれた2002年へと向かうのだが……。
この作品は第一作の「リライト」が作中作の役割を果たしており、「リライト」という創作の内容を基にしながら現実に起きた1992年の事実について、ひいては2002年までの10年間に発生した事件についての謎解きを行うという趣向になっている。
「リライト」の中で語られていたことの一部が、改めて別の角度から眺めるとまた違った解釈になるという点が興味深かった。
一作の中にまとまってはいないものの、三津田信三の作品に出てくるどんでん返しのような印象を抱く。
また「リライト」では悪印象を与える描き方をされていた登場人物が、実は「リライト」の作者本人であったり、またある人物は完全な創作であり実在しなかったり、「リライト」を読んだ人ならとても面白く読める。
逆に、「リライト」を読んでいない人は読んでも意味がわからないし、「昔読んだけど内容忘れちゃったなー」という人ももう一度読み直すことをお勧めする。
これで法条遥の「リライト」シリーズも残すは「リライブ」のみ。
読んでいるとライトな文体に反して難解な内容なので、ページ数の割に時間を食ってしまうがやはり面白い。
「リライブ」も、一気に読んでしまおうと思う。